食塩水濃度計算

食塩の質量と水の体積から、簡単に食塩水の濃度を計算できます。

食塩水濃度計算

g
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mL
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計算結果

-- %

計算式:

食塩水濃度 (%)
食塩の質量 (g) 水の体積 (mL) + 食塩の質量 (g)
× 100
=
-- --
× 100 = --%

食塩水濃度について

食塩水濃度とは

食塩水濃度は、溶液全体に対する食塩の質量の割合を百分率で表したものです。

  • 食塩:溶質として使用される塩化ナトリウム
  • 水:溶媒として使用される水
  • 食塩水:食塩と水の混合溶液

計算例

例えば、100mLの水に3gの食塩を溶かした場合:

食塩水濃度 = (3g ÷ (100mL + 3g)) × 100

≈ 2.91%

計算時の注意点

  • 単位を正しく確認してください(g, mL)
  • 食塩が完全に溶解していることを確認してください
  • 温度による溶解度の変化を考慮してください
  • 計算結果は小数点第2位まで表示されます

食塩水濃度の科学的基礎知識

質量パーセント濃度の意味

食塩水の濃度は「質量パーセント濃度」として表されます。これは溶液の総質量に対する溶質の質量の割合を示します。

溶液の総質量は食塩の質量と水の質量の合計ですが、水1mLの質量はおよそ1gと近似できるため、次の式で計算できます:

食塩水濃度 (%) = (食塩の質量 ÷ 溶液全体の質量) × 100

溶液全体の質量 (g) ≈ 水の体積 (mL) + 食塩の質量 (g)

溶解度と温度の関係

食塩(NaCl)の水への溶解度は温度によって変化します。一般的な温度での溶解度は以下の通りです:

温度 (°C) 溶解度 (g/100mL水)
0 35.6
20 36.0
40 36.6
60 37.3
80 38.0
100 39.2

※食塩は多くの物質と異なり、温度上昇による溶解度の増加は比較的小さいです。

食塩水濃度の実用的な応用例

化学実験と教育

学校の理科実験では、よく食塩水を用いた実験が行われます:

  • 密度の測定と浮力の実験
  • 沸点上昇の観察
  • 凝固点降下の測定
  • 電気伝導性の確認

これらの実験では、正確な濃度の食塩水を準備することが重要です。

料理と食品加工

調理や食品加工における食塩水濃度の応用:

  • 漬物液: 一般的に2〜5%の食塩水
  • 肉の塩水漬け: 約6%の食塩水でジューシーさを保持
  • パスタ茹で水: 約1〜2%の塩分濃度が理想的
  • 塩蔵保存: 高濃度(10%以上)の食塩水による食品保存

正確な塩分濃度で調理すると、一貫した味と質を実現できます。

医療と健康

医療現場での食塩水(生理食塩水)の利用:

  • 生理食塩水: 0.9%NaCl溶液(等張液)
  • 点滴用輸液: 体液補充や薬剤投与に使用
  • 洗浄液: 傷口の洗浄や医療器具の洗浄
  • 鼻腔洗浄: アレルギー症状緩和に使用される鼻洗浄液

特に0.9%の濃度は血液の浸透圧と等しく、細胞へのダメージを防ぎます。

知っていましたか?

海水の平均塩分濃度は約3.5%です。この濃度は地球の海洋環境の多様な生態系を支える重要な要素です。

特殊な濃度表現と単位変換

食塩水の他の濃度表現

食塩水の濃度は様々な方法で表すことができます:

濃度表現 説明 例(3%食塩水の場合)
質量パーセント濃度 溶液全体の質量に対する溶質の質量の割合 3%
質量モル濃度 1kgの溶媒に溶けている溶質のモル数 約0.53 mol/kg
モル濃度 1Lの溶液中の溶質のモル数 約0.51 mol/L
ppm (parts per million) 100万分の1単位での質量比 30,000 ppm

濃度単位の換算方法

異なる濃度表現間の変換には以下の関係式が役立ちます:

質量パーセント濃度からモル濃度への変換:

モル濃度 (mol/L) ≈ (質量パーセント濃度 × ρ溶液) ÷ (分子量 × 100)

ρ溶液:溶液の密度(g/mL)、食塩の分子量:58.44 g/mol

質量パーセント濃度からppmへの変換:

ppm = 質量パーセント濃度 × 10,000

これらの換算式を使うことで、異なる文献や実験プロトコルで指定された濃度を適切に変換できます。

よくある質問

食塩水の密度は濃度が高くなるほど増加します。以下に20℃での近似値を示します:

  • 純水: 1.00 g/mL
  • 1%食塩水: 1.01 g/mL
  • 5%食塩水: 1.03 g/mL
  • 10%食塩水: 1.07 g/mL
  • 飽和食塩水(約26%): 1.20 g/mL

この密度の違いを利用して、卵が浮くかどうかで食塩水の濃度を大まかに測定することもできます。

日常生活や特定分野で使用される代表的な食塩水濃度は以下の通りです:

  • 生理食塩水(医療用): 0.9%
  • うがい薬: 約0.5~1%
  • 経口補水液: 約0.2~0.3%
  • パスタ茹で水: 約1~2%(約10g/1Lの水)
  • 漬物用塩水: 約2~5%
  • 肉の塩水漬け: 約6%
  • 浮力実験用: 約10%以上

飽和食塩水とは、その温度でこれ以上食塩を溶かすことができない状態の食塩水です。室温(約20℃)では、水100mLに対して約36gの食塩が溶解した状態(約26.5重量%)が飽和状態です。

飽和食塩水の特徴:

  • 容器の底に未溶解の食塩の結晶が残る
  • 密度が高く(約1.2 g/mL)、多くの物体が浮く
  • 凝固点が低く(約-21℃)、低温でも凍りにくい
  • 食品保存や道路の融雪などに利用される

食塩水濃度を測定するための様々な方法があります:

  1. 比重計(密度計): 溶液の密度から濃度を求める
  2. 屈折計: 溶液の屈折率から濃度を測定
  3. 電気伝導度計: 溶液の電気伝導度から塩分濃度を測定
  4. 滴定法: 硝酸銀などを用いた化学的測定法
  5. 蒸発乾固法: 溶液を蒸発させて残った塩分を測定

家庭では比重計や食品用塩分濃度計を使用するのが簡便です。料理用の塩分濃度計は主に魚醤や醤油などの調味料の塩分測定に使われます。

参考資料

  • 日本化学会編 (2018)『化学便覧 基礎編』丸善出版
  • 文部科学省 (2022)『食品成分データベース』, 日本食品標準成分表
  • Perry, R.H. and Green, D.W. (2007) Perry's Chemical Engineers' Handbook, 8th Edition, McGraw-Hill
  • 日本薬局方 (2021)『第十八改正日本薬局方』厚生労働省