質量モル濃度とは?公式・計算方法・モル濃度との違いを例題で解説

質量モル濃度とは、溶媒1 kgに溶けている溶質の物質量を表す濃度です。公式は「溶質の物質量(mol)÷溶媒の質量(kg)」で、単位はmol/kg。英語のmolalityに相当し、モル濃度(mol/L)とは分母の基準が違います。

溶媒の質量と溶液中の溶質粒子を質量モル濃度の考え方として示す化学図解
質量モル濃度は、体積ではなく溶媒の質量を基準に溶質の量を表します。

1. 質量モル濃度とは

質量モル濃度は、一定量の溶媒に対して溶質がどれだけ溶けているかを、物質量で表す濃度です。溶媒とは、食塩水なら水のように、溶質を溶かしている側の成分を指します。英語ではmolalityと呼び、記号には小文字のmを使うことがあります。

モル濃度も溶質の物質量を使いますが、分母が「溶液の体積1 L」です。質量モル濃度では「溶媒の質量1 kg」を分母にするため、名前が似ていても同じ値にはなりません。

先に覚えるポイント

質量モル濃度の分母は溶液の質量ではなく、溶媒の質量です。まず溶質と溶媒を分けて考えると、計算ミスを防げます。

2. 公式と単位

基本式は次のとおりです。溶質の物質量をmol、溶媒の質量をkgにそろえてから割り算します。

質量モル濃度(mol/kg)= 溶質の物質量(mol)÷ 溶媒の質量(kg)

溶質の物質量(mol)= 溶質の質量(g)÷ モル質量(g/mol)

記号・単位意味計算前の確認
n(mol)溶質の物質量gをモル質量(g/mol)で割る
m(kg)溶媒の質量gなら1000で割ってkgに換算
mol/kg質量モル濃度の単位「溶媒1 kgあたり」と読む

「m」は質量モル濃度の記号として使われることがありますが、質量を表すmと混同しやすいため、答案では単位mol/kgまで書くと安全です。

3. 計算方法を例題で確認

例題:塩化ナトリウム(NaCl)5.844 gを水100 gに溶かしたときの質量モル濃度を求めます。NaClのモル質量は58.44 g/molとします。

  1. NaClの物質量を求める:5.844 g ÷ 58.44 g/mol = 0.100 mol
  2. 水の質量をkgに換算する:100 g = 0.100 kg
  3. 公式に代入する:0.100 mol ÷ 0.100 kg = 1.00 mol/kg

答え:NaCl水溶液の質量モル濃度は1.00 mol/kgです。分母に使ったのは、調製後の水溶液全体ではなく、最初に量った水100 gです。

物質量の計算に自信がないときは、まずモル計算ツールでgとmolの関係を確認し、化学式のモル質量が必要なら分子量計算ツールを使うと入力値を整理しやすくなります。

4. 溶媒の質量と溶液の質量を区別する

質量モル濃度で最も多い間違いは、分母に溶液全体の質量を入れることです。溶液の質量は「溶質+溶媒」ですが、質量モル濃度の分母は溶媒だけです。

たとえば、質量パーセント濃度10%のNaCl水溶液100 gなら、NaClは10 g、水は90 gです。この場合、NaCl 10 gを58.44 g/molで割って約0.171 mol、水90 gを0.090 kgに換算するため、質量モル濃度は約1.90 mol/kgになります。

この例での値使い道
溶質(NaCl)10 gmolへ換算する分子
溶媒(水)90 g=0.090 kg質量モル濃度の分母
溶液全体100 g質量パーセント濃度の基準

5. モル濃度との違い

モル濃度は溶液の体積を基準にするのに対し、質量モル濃度は溶媒の質量を基準にします。どちらも物質量を使いますが、分母が違うため、同じ数値として置き換えることはできません。

溶媒の質量を量る質量モル濃度と最終体積を読むモル濃度の比較図
質量モル濃度は質量、モル濃度は最終体積を基準にします。
比較項目質量モル濃度モル濃度
分母溶媒の質量溶液の体積
単位mol/kgmol/L、M
英語molalitymolarity
向いている整理溶媒量を基準にした比較、沸点上昇・凝固点降下など一定体積の溶液調製、滴定や希釈の計算など

溶液を何mol/Lに調製するかを確認したい場合は、既存のモル濃度計算ツールを使います。質量モル濃度が必要な問題では、体積ではなく溶媒の質量が与えられているかを先に確認してください。

6. どんな場面で使うか

質量モル濃度は、溶媒の量を質量で管理したい場面で便利です。温度によって液体の体積が変化しても、同じ試料中の溶媒質量を基準にすれば、濃度の定義を追いやすくなります。

  • 沸点上昇や凝固点降下など、溶液の性質を物質量で比較するとき
  • 溶媒を秤量して試料を作り、体積測定の影響を小さくしたいとき
  • 溶液の体積ではなく、溶媒と溶質の質量比から濃度を整理するとき

一方、実験でメスフラスコを使い「最終体積を100 mLにする」ような調製では、モル濃度の方が直接的です。目的に合わせて分母を選び、問題文の「溶媒」「溶液」「最終体積」を読み分けます。

7. よくある計算ミス

100 gは0.100 kgです。gのまま割ると、答えが1000倍ずれるため、分母の単位を必ず確認します。

分母は溶媒の質量です。溶液全体の質量しか分からないときは、溶質の質量を差し引いて溶媒量を求めます。

mol/Lは溶液体積が分母です。mol/kgを求める問題では、体積ではなく溶媒質量を使います。

溶質の質量をgで入れるなら、モル質量はg/molを使います。化学式や水和物の形が正しいかも確認してください。

8. FAQ

溶媒1 kgに溶けている溶質の物質量を表す濃度です。単位はmol/kg、英語ではmolalityと呼びます。

質量モル濃度(mol/kg)=溶質の物質量(mol)÷溶媒の質量(kg)です。

溶媒は溶質を溶かす側の成分、溶液は溶質と溶媒を合わせた混合物です。質量モル濃度の分母は溶媒だけです。

質量モル濃度は溶媒の質量1 kgあたり、モル濃度は溶液の体積1 Lあたりの物質量です。単位もmol/kgとmol/Lで異なります。

100 g=0.100 kgです。質量モル濃度では、溶媒の質量をkgに換算してから割り算します。

参考資料

用語と単位の確認には、化学用語の国際的な用語集とSI単位の公式資料を参照できます。