緩衝液計算ツール
目標pH、pKa、総濃度、調製量から、酸成分(HA)と共役塩基成分(A-)の比率・物質量・必要質量を計算します。リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液の調製計画に使えます。
pH・pKaから緩衝液組成を計算
A-/HA 比
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酸成分 HA
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共役塩基 A-
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総物質量
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この緩衝液計算ツールでできること
目標pHから配合比を逆算
Henderson-Hasselbalch式を使い、pHとpKaの差から[A-]/[HA]を計算します。比率を先に把握できるので、緩衝系の選択にも使えます。
調製量に合わせて質量を表示
総濃度と液量から総物質量を求め、酸成分と共役塩基成分のmol数とg数を表示します。100 mL、500 mL、1 Lなどの実験量へ合わせやすい設計です。
代表的な緩衝系をプリセット
リン酸、酢酸、クエン酸の入力例を用意しています。実際の試薬が水和物や別の塩の場合は、式量をラベル値に置き換えてください。
緩衝液計算の基本式
弱酸HAと共役塩基A-からなる緩衝液では、pH、pKa、酸塩基比の関係を次の式で近似します。総濃度を固定すると、酸成分と塩基成分の合計濃度を保ったまま比率を分けられます。
| 項目 | 式 | 意味 |
|---|---|---|
| 酸塩基比 | [A-]/[HA] = 10^(pH - pKa) | 目標pHがpKaより高いほどA-側が多くなります。 |
| 酸成分濃度 | [HA] = Ctotal / (1 + ratio) | 総濃度CtotalをHAとA-に分けます。 |
| 共役塩基濃度 | [A-] = Ctotal × ratio / (1 + ratio) | ratioは[A-]/[HA]です。 |
| 必要質量 | mass = mol × 式量 | 塩の水和物を使う場合は水和物の式量で計算します。 |
この計算は、緩衝液を作り始めるための概算です。高濃度、強いイオン強度、温度差、活量係数の影響、複数段階の解離を厳密には扱いません。実験では校正済みpHメーターで測定し、酸または塩基を少量ずつ加えて最終pHへ合わせます。
計算例:0.1 mol/L リン酸緩衝液を100 mL作る
入力例
- 目標pH:7.40
- pKa:7.21
- 総濃度:0.1 mol/L
- 調製量:100 mL
- 酸成分:NaH2PO4、式量 119.98 g/mol
- 共役塩基:Na2HPO4、式量 141.96 g/mol
pH - pKa = 0.19 なので、[A-]/[HA] は約1.55です。総物質量0.010 molをこの比率で分け、酸成分と塩基成分の質量を求めます。
実験での調整
- 計算量より少ない水に試薬を溶かします。
- pHメーターを標準液で校正します。
- pHを測りながら酸または塩基で微調整します。
- 最後にメスフラスコなどで定容します。
緩衝系を選ぶときの目安
| 緩衝系 | よく使うpKa付近 | 向いている用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 酢酸/酢酸塩 | 約4.76 | 弱酸性域の分析、基礎実験 | 揮発性や臭い、試料との反応性を確認します。 |
| クエン酸/クエン酸塩 | 約3.1、4.8、6.4 | 酸性から弱酸性域、食品・生化学系の概算 | 多価酸なので目的pHに近いpKaを選びます。 |
| リン酸/リン酸塩 | 約2.1、7.2、12.3 | 中性付近の実験、PBSの設計確認 | 金属イオンや酵素系への影響を確認します。 |
pHがpKaから1以上離れると片方の成分に大きく偏り、緩衝能が落ちやすくなります。別の緩衝系を選ぶ、総濃度を見直す、実測で確認する、という順で調整すると安全です。
関連ツールと解説
参考情報
緩衝液の厳密な設計では、pKa、温度、イオン強度、活量、試薬の純度、目的実験の許容成分を確認します。以下は定義や測定条件を確認するときの入口です。
- IUPAC Gold Book: pH
- Chemistry LibreTexts: Henderson-Hasselbalch Approximation
- NIST pH Metrology:pH標準や測定トレーサビリティを確認する入口